痛風とは
血液の中に「尿酸」が増えてしまうため、足の関節に尿酸が結晶になって溜まり、強い炎症を起こして痛みが出ます。
「痛風=風が吹いても痛い病気」というほど強い痛みで歩けないほどです。
血液検査で尿酸値が高くなったら(7.0mg/dL)高尿酸血症といいます。高尿酸血症が持続・変化すると痛風が起きてしまいます。
高尿酸血症を放置すると、痛風だけでなく、関節の変形、腎臓病、痛風結節などの病気を引き起こしてしまいます。
健康診断や病院の検査で高尿酸血症と言われたときは、早めに受診してください。
痛風発作
痛風で足の親指の関節(親指の付け根)が急に痛くなることを痛風発作といい、激しい痛みが襲います。痛みの場所はその他希に、膝、足の甲、アキレス腱、肘に出ることもあります。
痛みは1週間程度でおさまることが多いです。しかし高尿酸血症の治療を行わないと、痛風を繰り返し、合併症に至ってしまいます。
高尿酸血症の治療、痛風予防
尿酸の元は全身の細胞の遺伝子です。体の新陳代謝で細胞が壊れることによって自然に作られます。
さらに尿酸値が上がる原因は、
1,生活や食事習慣 (プリン体が多い飲み物や食べ物)、
2,高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病に伴う体内の酸化によって、
3,抗がん剤や利尿薬などの薬によって細胞が壊れるため
などが考えられます。
治療は、安定期に尿酸値を下げることです。
1,生活改善 尿酸を下げるためにプリン体を含む飲食物を減らすこと、過剰な新陳代謝を避けるため減量や運動療法*。
2,薬物療法 尿酸を下げるために必要です。尿酸合成を止める薬、尿酸排泄を促す薬があり、適切な治療を行います。
*生活改善は一人ずつ内容が変わります。運動療法のやりすぎや過度の減量は、逆に尿酸値を上げてしまう可能性があります。年齢や身長、生活状況によって適切な提案をいたします。体質による高尿酸血症もありますので、適切な診断が必要です。
薬物療法
痛風治療の第一は、尿酸値を下げるための食餌療法です。
尿酸生成の原因になる、プリン体を多く含む食品の摂取を控えて、バランスのとれた食事を摂るようにしましょう。
また、食餌療法とともに、適度な運動を取り入れることも効果的です。さらに、必要に応じて薬物療法も行います。
尿酸の詳しい解説(私見を含みます):
尿酸は、全身の細胞の中にある細胞核に含まれる染色体の成分である遺伝子を構成する成分です。
遺伝子を作り上げている物質は「核酸」というもので、アデニン (Adenine)、チミン (Thymine)、グアニン (Guanine)、シトシン (Cytosine)、ウラシル (Uracil)、プリン (puRine)、ピリミジン (pYrimidine)という種類があります。これらはそれぞれの役割を終えると分解されて最後は「尿酸」になります。
人間は尿酸を分解する酵素を持っていません。腎臓や便から体外へ排泄していきます。人間が尿酸を排泄できる量は1日約700mg程度と限られています。尿酸が産生される量がそれ以上に増えると、その分が体内に蓄積されてしまいます。
一方で尿酸は、実は抗酸化作用が非常に強い物質で、ビタミンCよりも強い作用であるといわれています。体にとっては良い物質のはずですが、体内に蓄積して結晶になると悪さを始めてしまいます。
尿酸値が上がるということは、体の中で抗酸化物質を増やさなければならないような老化が起きているということではないでしょうか。おそらく体内で、動脈硬化など、全身の臓器や組織にに何らかの障害が起きると体内に酸化物質が増えて来ます。これに対抗するため、つまり必要な抗酸化作用を発揮するために尿酸値を上げて身体の老化を防止しようとする機構が働いているのではないかと思っています。生活や食事の改善で尿酸値が下がってくれればより自然な治療ということになりますが、痛風になるとなるとあまり長い時間待ち続けるわけにはいきません。
院長は、カナダのウェスタン大学医学部生理学教室で、心臓への尿酸とその分解前のアデノシンに関する影響を研究しました。これらの知識と経験を治療に役立てます。